照明状態によって白い物がグレーに見えるということはありますね。
白い形状に100%の光を当てた時に100%の白に見えるとしたら、50%の光を当てた時には50%グレーに見えます。これは50%グレーの形状に100%の光を当てているのと見た目は同じです。
ではグレーに見えなくするには光を強くすれば良いのかと言うと、光の照り返しを考慮した場合には、単純にそうはいかなくなります。
例えば、床からので照り返しで壁が照らされるとします。この時、白い床からの照り返しの強さが100とすると、白い壁の見た目は100の明るさで見えます。
しかしながら、素材を50%グレーにすると、照り返しの強さも半分の50になり、さらに壁自体の色も50%グレーなので半分吸収され、25の明るさで見える事になります。この場合、単純に照明の明るさを2倍にしても、壁の見た目は50にしかならず、白い素材の時よりも、壁の色は半分暗く見えます。
(図はアニメGIFです)
つまり、素材自体が白く(反射率が高く)感じられるためには、照り返しの強さも重要になります。照り返しが弱いと、素材の色が黒っぽいのと近い見た目になるからです。照り返しを強くするにはレンダリング設定の反射係数を充分に上げる(Shade 10なら「間接光の明るさ」も上げる)か、IBLや補助光源で柔らかく照らしたり、環境光や発光等で「下駄を履かせて」照り返しがあるように見せかけるのも有効ではないかと思います。ただし、下駄を履かせた場合は、厳密な照明ではなくなります(特にパストレーシング大域照明では環境光よりもIBLをおすすめします)。
また、コンピュータのディスプレイは実際の値よりも中間色が暗く見えるように調整されています。これをガンマ値と呼び、Macでは1.8、PCでは2.2が標準的なガンマ値になっています(詳しくはGoogle等で調べて下さい)。Shadeでは色補正ウインドウでガンマを上げる事で、ガンマ値を相殺して、実際の照明現象により近い見た目を得られます。
ただし、素材の色やテクスチャ等も同時に白っぽくなってしまうので、フォトレタッチソフトであらかじめテクスチャのガンマを逆補正しておくか、ディスプレイのガンマ値を調整出来るなら始めから1.0のガンマ値で通して作業する事で、意図した素材の色で、よりリアルな照明結果を得られます。
テクスチャや素材色のガンマを自動的に逆補正してくれるような機能がShadeに付いていれば簡単によりリアルな照明結果を得られるのですが、何とかなりませんか?(^_^;)>開発の方